首相が辞任する

首相が辞任するときの会見というのを、初めて全部見た気がする。youtubeは本当に便利だ。どんなに見たくても、テレビでは編集もされて全部を見ることは生中継以外は難しいし、仮に生中継でタイミングよく見る機会に恵まれたとしても、録画でもしてない限り改めて見ることは出来ない。
こうして政治家の会見を最初から通して見ると、予想以上にしっかりと自分の言葉で語っていることに気づかされる。

多くの人が鳩山首相に批判的で、辞任を当然と受け止めている。しかし、人によって、その理由はさまざまだ。沖縄を裏切ったから、アメリカから見放されてしまったから、ばら撒きだから、景気を悪化させたから、偽装献金をしていたから、指導力がないから、などなど。

私は、少なくともマスコミは、首相が辞意を表明したときには、その理由を分析する義務があると思っている。鳩山首相は、なぜ辞任しなければならなくなったのだ。すべて彼に帰責されうる俗人的な理由なのか。彼が、沖縄を裏切らざるを得なくなった理由はどこにあるのか。

指導力がないのだとしたら、なぜ指導力がない人が首相になってしまったのか。どの点に関して指導力がなかったのか。景気を悪化させたのはどの政策なのか。

私は、多くのマスメディアに当たってみたが、本質的に今回の辞任の原因を論じたメディアにはぶつからなかった。最近、経済や個別の政策については、少しネットで検索すれば珠玉のブログがざくざく出てきて、専門的な問題点のさわりの部分をすぐに理解することが出来る。

しかし、政局・政治に関しては、まだまだ珠玉のブログはあまりない。新聞の政治部に期待したいのだが、彼らは自民党時代の機密費でずぶずぶだから、全く表現に価値がない。本当に、価値がない。

日本の首相は、なぜ1年足らずで辞任しなければならなくなったのか。鳩山首相は、なぜ沖縄の問題に手をつけ、失敗したのか。なぜ5月末に期限を設定しなければならなかったのか。なぜ最低でも県外と言っていたにもかかわらず、結局アメリカと県内で合意せざるを得なくなったのか。アメリカからどのような圧力があったのか。

無能で、無責任な人間だから、勝手に5月末と言い出して、全然現実を見てないから決着をつけられず政権を放り出した、というふうに鳩山首相に全てを押し付けて、全く本質的な分析をすることなく、沖縄問題に決着をつけて、もう全部忘れて菅さんの高校時代の友人に取材をするような新聞で、本当にいいのだろうか。
日本の政治のレベルが低いのは、日本の新聞のレベルが低いからではないのか。


ではまた。