企業献金の礎 1
政権が変わり、
企業献金の是非も争われている。
そもそもなぜ企業による政治献金が許されているか、
なぜ政治献金は賄賂には当たらないのか、
少し真剣に考えてみたいと思います。
刑法は197条と198条で収賄と贈賄の両方を禁止しています。
なお、条文は文末に注としてつけておきます
(脚注の使い方がまだよくわかりませんです。すみませんです。)
例えばトヨタが(あくまで例えばです)
自民党に6000万円の献金をして
(http://www.kokuseikyo.or.jp/syuushi/h19.html)
派遣法の制定を迫り、
エコカー減税の導入を迫り、
高速道路1000円を迫り
(本当に迫ったかどうかは知りません。あくまで例えば、です)、
自民党がこれに呼応して
派遣法を制定して、
エコカー減税の導入を決め、
高速道路1000円とした場合、
なぜ、賄賂に当たらないのでしょうか。
まず、刑法の枠内での解釈としては、
政党への政治献金が賄賂にあたらない理由は、
献金相手が「公務員」ではなく「政党」だから、ですね。
「罪刑法定主義」がありますから、
献金の対象が違えば罰することは出来ないでしょう。
ただ、こんな理由では普通、人は納得しません。
納得するのは概念法学に凝り固まった法律家だけでしょう。
なぜでしょうか。
”刑法で「公務員」だけじゃなくて「政党」も対象にすりゃぁいいじゃん”
と思うからですね。
刑法の贈収賄罪が定められているのは、
公務員が一部の人間の利害のためだけに政治を行うような事態を防止するためです。
公務の公正及び公正「らしさ」を守るためです。
じゃあ、政党に関しても一部の人間の利害のためだけに政治を行わせないようにしようよっ
政党にも公正及び公正「らしさ」を守ってもらおうよっ
というか、近代民主主義では政党こそ「公務」の最大の担い手なんだから、
政党にこそ贈収賄を認めようよっ
となりませんか。
ただ、話はそんなに簡単ではありません。
ここで2つの疑問が出てきます。
①でも、政党に対する個人(故人にあらず)献金は認めてもいいんじゃないかな・・。
あれ、なんでだろう。企業と何が違うんだろう・・。
②なんで個人献金は認めていいと考えるんだろう。
献金と賄賂って何が違うんだろう・・。
あまり長いのもあれですし、
自分自身、書きながら少しずつ整理している感がありますので、
一晩寝かせて、明日以降に続きます。
では、また。
注
(収賄、受託収賄及び事前収賄)
第197条 公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、5年以下の懲役に処する。この場合において、請託を受けたときは、7年以下の懲役に処する。
(贈賄)
第198条 第197条から第197条の4までに規定する賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、3年以下の懲役又は250万円以下の罰金に処する。
ついでに。政治資金規正法の規定も載せておきます。
政治資金規正法
(会社等の寄附の制限)
第21条 会社、労働組合(労働組合法(昭和24年法律第174号)第2条に規定する労働組合をいう。第3項並びに第21条の3第1項及び第2項において同じ。)、職員団体(国家公務員法(昭和22年法律第120号)第108条の2又は地方公務員法(昭和25年法律第261号)第52条に規定する職員団体をいう。第3項並びに第21条の3第1項及び第2項において同じ。)その他の団体は、政党及び政治資金団体以外の者に対しては、政治活動に関する寄附をしてはならない。
《改正》平11法159
2 前項の規定は、政治団体がする寄附については、適用しない。
会社は、政党及び政治資金団体「以外」に寄附をしてはならない、
とされているので、逆に言えば政党に寄附をしていいことになるわけですね。