企業献金の礎 2

「昨日」の日記に引き続きます。
ちなみに、「企業献金の礎1」は、自分の中では昨日書いたはずなのに、
なぜか、2009・9・21にかかれたことになっています。
なぜだろう・・。


さて、
まず、ひとつめです。


個人献金と「会社献金」は違うのでしょうか。


私は違うと思っています。


会社は「信条」を持たない(持てない)からです。




1.
会社(シンプルに株式会社に限ります)とは、
営利社団法人です。


「営利」とは元手を使って利益を上げて、
構成員に分配する作業をいいます。


一言で言えば利益を上げることが目的なわけです。
利益を上げない経営陣は構成員たる株主に突き上げられて
解任されたりしちゃうわけです
(あんまりありませんが、制度設計上はそういうことですし、
実際たまにあります)。



2.
そして、会社は「法人」です。
法人とは「法律上人として扱いますよ」という存在です。


あくまで法律があって初めて存在するわけで、
5人くらいの人間が結束して、みなでガンバローとがんばって、
皆で元手を拠出して
皆で朝から晩まで働いて、
商品を作って、販売して稼いで、
元手を拠出した人たちで分配していても、
株式会社として設立しないと、株式会社にはなりません。


この5人は、
「元手を拠出して
朝から晩まで働く」とこくらいまでは、
特に会社を作りたいとも思わず、がんばって働くことでしょう。


でも、
「商品を作る」、「販売する」とかの段になると、
うーむ、メンドイ、と唸ることになります。



3.
まず、商品を作るとなると、
大体、「材料」だの「設備」だのが必要になりますが、
これを調達するには大体どっかから買わなきゃなりません。
しかし、何かを「買う」ときには
「誰が」買うのかが重要です。
そうしないと、
「誰が」金を払うのか、
買ったものが「誰の」ものになるのか
が決められませんから。


5人の代表としてAさんが「買う」としても、
毎回毎回Aさんだと大変です。
Aさんはそんなにお金をもってません。
1人で出来るお金をもってたら
5人でがんばったりせずに、Aさん1人でがんばります。


5人全員で「買う」としたら、
全員で契約書にはんこ押さなきゃなりません
(ちなみに法律上は契約するのに契約書もはんこも要りませんが、
普通作ります。後々のためですね。まあ、流します)。
5人ならぎりぎり可能ですが、100人とかだと不可能ですね。


Aさんを4人の「代理人」にすればいい、
という考えを思いついたあなた、


ちょっとその考えは、胸に仕舞っておいてください。


割愛します。
一応軽く触れると、そもそも代理契約というのは「厄介」です。
相手方としては、そこにいない人と契約するので、不安なわけです。
また、自分も当事者なのに、他の人の代理にもなるのも、色々「厄介」です。
法律行為を素人が代理で行うことも「厄介」です。



4.
5人で拠出したお金があるって?


確かに、残りの4人がAさんにお金を拠出すれば、
Aさんが材料や設備を「買う」ことができます。


でも、その材料や設備は、
Aさんが「自分の」お金で買ったものですから、Aさんのものです。
となると、そこから作って売ったものもAさんのものとなります。
4人が拠出した金は、
「拠出」ですから、Aさんに上げたわけですので、
全部Aさんのものになっちゃうわけですね。




あれ、残りの4人は分配に与れないのかって?


はい〜。
このままでは分配に与れません。
ちゃんと、拠出をするときに、
条件をつけなければいけません。
そうしないと単なる贈与ですね。



分配に与るためには、Aさんとの間で、
「金を拠出する代わりに、売り上げから分配をよこせ」
という契約を結ぶ必要があります。


こうして初めて、5人はめでたく利益を分配することに成功します。
ちなみに、
「金を拠出する代わりに、売り上げから分配をよこせ」といって、
自分は特に仕事をしないことを、
「投資」と言いますね。



5.
ですが、この作業って面倒ですよね・・。
毎回毎回契約書を作るのも、
金の拠出・分配作業をいちいちチェックするのも。
また、「Aさん」を誰にするかでもめそうです。
だって、Aさんは一時的にせよ、
みんなのお金を一手にするんですよ。
逃げちゃうかもしれないじゃん。



逆に、Aさんは、みんなで買ったつもりの材料や設備の、
唯一の債務者です。
1回限りの買い物ならいいですが、
分割払いやローン払いだったら、全部自分にしわ寄せが来ます。


いずれにせよ、「Aさん」は、
良きにせよ悪しきにせよ明らかに他の4人とは異なる立場となってしまいます。


どうにも不便です。




6.
この不便さを解消するために、
法律で、つくった便利な「システム」が、株式会社です。


「金を拠出する代わりに、売り上げから分配をよこせ」
と言う相手を「Aさん」という生身の人間にするから角が立つわけで、
法律上生身でない「人間」をつくっちゃって、
そいつに「Aさん」の役割を担わせれば、
全部一挙に解決だ、という感じで、作られたものです。
株式会社は、つまり、営利活動をするための、「器」なわけですね。



実際株式会社の発明は、
世界三大発明の一つにも数えられるくらい(うそです)
重要な発明と言われています(重要だと言われているのは本当です。)。
法律三大発明くらいには入るのかな・・



これにより、経済が爆発的に大規模になり、開けたわけです。



余談ですが、
最近特別目的会社という会社があるんですが、
これなんて株式会社のバージョンアップといいますか
変形バージョンであって、
その必要性から起因して実際にシステムとして出来上がるまでの過程が、
株式会社誕生過程と相似形な感じがしていて、
なんというかすごい面白いなと思います。



さっきの5人だと、
拠出した金の持ち主は誰かとか、
材料や設備を買うのは誰かとか、
買ったものを所有するのが誰かとか、
色々ややこしかったのですが、
株式会社になると、全部答えは、「株式会社っ」
となります。


大変シンプルになるわけですね。



以上が、前提知識です。


・・・
・・・・・

まさか前提知識だけでこんなに長くなるなんて・・。
しかも、全く大した内容じゃないし。
会社法の教科書に5行くらいで書いてあることを・・。


昔から文章が長くてくどいと言われていましたが・・。
何とかブログを書きながら、治療していきたいと思っています。


自戒の意味を込めて、アップしたいと思います。


というわけで、では、また次回・・・。