多くの人に知ってもらいたい。

多くの人に知ってもらいたい。
刑事裁判が如何に不合理に出来ているか。





刑事裁判に関わった人(被疑者・被告人、その家族、恋人、友人、弁護人、通訳人等)で、
刑事裁判の理不尽さに怒りを覚えない人は、ほとんどいないと思います。



理不尽な逮捕に始まり、理不尽な勾留、理不尽な勾留の延長、理不尽な再逮捕・再勾留、
理不尽な保釈の却下、理不尽な面会・接見制限、理不尽な証拠採用(検察側証拠)、
理不尽な証拠却下(弁護側証拠)、理不尽な訴訟指揮、そして、理不尽な判決。










刑事裁判に関わる人は、人口からすればわずかです。
が、実はそんなに少ないわけでもありません。
検察庁に関わる人だけでも、年間190万人です
(平成20年度犯罪白書http://www.moj.go.jp/HOUSO/2008/hk1_1.pdf)。
人口の1.5%です。結構びっくりです。
60年で90%の計算です。人は一度は検察に行く、、、。
んなこたぁないです。
そもそも検察に関わる人の多くは、身柄を拘束されていません。
いわゆる在宅です。
また、再犯の人が多いので(大体30%)、実人数は差ほどではありません。
一度警察署(豚箱)に入ってみてください。同房のほとんどの人が再犯であるのに驚きますよ。


190万人のうち、起訴されるのは、どのくらいだと思いますか?




12万人です。
1割以下の人しか公判請求されません。
このくらいになると0.1%です。1000人に1人です。


有罪になる人は何人くらいでしょう。
61万人です。
大体200人に1人、0.5%ですね。



ん?
なんで公判請求される人より、有罪になる人が多いの?




はい。つまり、略式請求という制度があるのです。
交通事故や飲酒運転などのいわゆる道路交通法違反がこれですね。
略式請求で有罪となる人は55万人です。
61万人のうちの55万人ですから、9割近くが、これということですね。



説明が大変なので、百聞は一見にしかず。ばっと、犯罪白書を抜き出します。

 検察庁
新規受理人員 189 万6,000 人
公判請求人員 12 万6,000 人
略式請求人員 55 万9,000 人
不起訴人員 104 万4,000 人

 裁判所
(裁判確定人員)
有罪人員  61 万5,000 人
 死刑 23 人
 懲役・禁錮 7万8,000 人
  うち執行猶予 4万7,000 人
 罰金  53 万4,000 人
 拘留・科料 2,900 人
無罪人員 117 人



です。

年間68万人が起訴されて、61万人が有罪となっています。
つまり7万人が無罪になっている、わけないですね。
無罪になっているのは117人です。
7万人というのは、年末に起訴はしたけど、判決は年越しということです。
起訴から判決までは、どんなに短くても1月半くらいかかるので、

12:1.5=8:1≒68:7
一年のうち、年末にかかって、判決が年越しになってしまう事件の割合
(つまり11月下旬に起訴されたもの。毎日同じペースで起訴しているとすれば、
11月下旬から12月31日までに起訴される数は単純に、日にち数で割ればいい。
つまり12÷1.5。で、これが8。ほら68万件起訴するけど、有罪は61万件、つまり7万件がどっかいっちゃっているってのと、大体比率が合うでしょ。われながら、どうでもいいことにくどい説明を・・。)


つまり、道交法で刑事事件に関わるって人もせいぜい200人にひとりですが、
まあこの数字なら、身近にいそうですね。


でも、本当の刑事事件、いわゆる窃盗とか強盗とか、殺人とか、薬物とかに関わる人ってのは、
6万人だけです。
人口の2000人に1人です。これは、やっぱりかなり少数ですね。


犯罪を犯してしまう人というのは、家族や友人が少ないことが多いので、
少し少なめに見積もって、家族が1人いて、心配してくれる友人が1人いるとしても
(体感では心配してくれる家族か友人が1人いるってのは、50%くらいか)、
×2で、12万人です。人口1000人に1人です。



つまり、刑事事件に、真剣に関心を持たざるを得ない状況に置かれる人というのは、
人口1000人に1人なわけです。
50年かけたら20人に1人になるかと思いきや、
結局多くの人が再犯なので、関わる「人」は全然増えない。回数が増えるだけです。
大体、一般刑法犯における有前科者は30%くらいです(犯罪白書参照)


つまり、刑事事件を、わが身のこととして考える人というのは、
とても少ないということです。
3分の1が再犯だとしたら、1000人に1人のところ、
30年たったらようやく100人にひとりとなるか、という感じです。
30年で大体一サイクル有るとすれば、
つまりは日本では、100人に1人が、何らかの形で刑事事件に関わっているといえます。



その人たちは、最初に述べたように、本当に理不尽な扱いに憤りを感じています。
特に多いのは、身柄拘束の不当性です。逮捕や勾留、保釈の却下などです。
全く合理性のない判断が次々に下されています。納得できる人は本当に少ないです。


それでも、100人のうち99人は、そんな実態を知らず、
逆に悪いことをしたのに逮捕しないなんておかしい、金を払えば保釈されるなんておかしい、
とむしろもっと身柄を拘束しろと大合唱します。
検察・裁判所は、この大合唱をたてに、どんどん身柄を拘束します。



逆に言えば、100人のうち50人が実態を知り、
不当な逮捕勾留はやめるべきであると、考えたら、
検察・裁判所は、少なくとも理不尽な・不当な身柄拘束には慎重になると思います。



皆さん
是非刑事裁判に興味を持ってください。


日本人のナショナリティに訴えかけるならば、
欧米の人々は、日本でだけは刑事裁判を受けたくないと、本気で思っています。
恐らく、日本人の大半が、中国やアラブ圏で刑事裁判を受けたくないと思っているように。
むしろ、それ以上に。


そんな国でいいと思いますか。
弁護士の多くが、余りの理不尽さに撤退を余儀なくされるような刑事裁判を、
国の制度としてもっていていいのですか。





さて、改めて先ほど引用した犯罪白書をご覧ください。


61万人が有罪でしたね。
無罪の人は何人でしたか。



無罪率を計算しましょう。
衝撃を受けませんか?



117÷61万=???









答えは、0.0001918です。



こんな数字、人生で、刑事裁判以外に見たことがありません。








では、また。