改めて事業仕分け
事業仕分けの批判の最たるものは、「あんなに重要な事業の予算を削るなんてありえない、しかも1時間で。」というものだと思います。
私は、国の施策は、目的が重要だとしても、その目的を達成するために当該手段が必要かつ合理的(効果がある)場合でなければ、限られた予算をつけるべきではないと考えています。
この視点は、もともと憲法上の人権を立法行為や行政施策で制約される際に、当該施策が不当な人権制約として違憲ではないかを判定するために用いられた視点です。
限られた予算から、どの施策に割り当てるかをきめる際には、この視点が不可欠です。
私はこの前事業仕分けを見に行きました。
http://www.cao.go.jp/sasshin/oshirase/pdf/nov25-pm-shiryo/2-56.pdf
安心ジャパンプロジェクトです。
経済産業省が、混合医療の発展、実現のために検討している施策です。
私はこの資料を何度読んでも、結局何を実現しようとしているのかがわかりませんでした。
仕分けをみて、ようやくわかりました。
同省は、混合医療の実現のために、
「約款の策定」「サービス品質基準の策定」をしたいというわけです。
混合医療の実現・発展が大事であることは疑いがないと思います。
目的は重要なのです。
そのために採る施策として、「約款」と「品質基準」を国が、32億もの予算をかけて実施する必要性がどこにあるのでしょうか。
また、約款と品質基準が定められたら、混合医療の発展に効果があるのでしょうか。
むしろ、より効果的であるのは、混合医療特区を定めて、実験的に大手企業のみに混合医療の実践的なノウハウを蓄積してもらい、それを用いて広くあまねく国民に混合医療を開放することではないでしょうか。
約款や品質基準を32億もかけて国が作る、この発想が既に時代遅れなのだと思います。
他にも事業仕分けの対象となった事業はたくさんあります。
関心がある方は、http://www.cao.go.jp/sasshin/oshirase/nov25.htmlをご覧ください。
どの施策も、目的は重要なのですが、巨額の予算を配分する必要性と合理性にかけるものです。
改めて言います。目的は重要です。国を挙げて実現するべき公益ばかりです。
けれども、施策の発想が貧困過ぎます。
税収が40兆を切り、95兆の概算を組む。
そんなことが実現できるわけがありません。
一日24時間しかないにもかかわらず、あれも重要、これも大事と、全ての予定を組み込んで、40時間が必要となってしまっているようなものです。
皆さん、もう少し冷静になりましょう。
金がないのです。
金がないのだから、必要極まりない施策であっても断念せざるを得ないのです。
貧困層に福祉を施し、少子化のために子供手当てを割り当て、農家にお金をばら撒けば、
もうお金がありません。
どんなに重要な施策であろうと、お金がなければ出来ません。
世界1のスパコンを実現して、国家財政が破綻する国を求めているのでしょうか。
身の程を知りましょう。
我々は、国の方針を転換するべきときです。
金がないのですから、本当に必要不可欠な事業にだけお金を配分しましょう。
ではまた。