一言だけ言いたい。

知人男性に対する暴行問題の責任を取る形で、現役引退を表明した横綱朝青龍関は4日午後3時45分、師匠の高砂親方(元大関朝潮)に伴われ、両国国技館の記者会見場に現れた。「みなさまに大変ご迷惑をかけ、お騒がせした。責任をもって引退をしました」と表明。決断の時期は明かさず、「師匠と話し合いの上で考えた」とだけ説明した。

 カメラのフラッシュを浴びる中で時折、笑みも浮かべたが、引退の引き金となった暴行問題に釈然としない思いが残るのか、「メディアで流れたことと実際に起こしたことは、かなり格差がある」と本音を漏らす場面も。曲折をへた末の引退に「最後にけじめをつけるのは僕しかいない。これが自分の運命」と潔さを強調した。

 土俵内外で横綱の品格を損なった型破りな振る舞いについても釈明。「正直いえば、土俵に上がれば鬼になる。今までにない人だったので、みなさまにご迷惑をかけた」と話した。

 横綱の顔色が変わったのは、現役時代の思い出を聞かれたとき。新小結に昇進した平成13年夏場所の初日にモンゴルから初めて両親を招き、横綱武蔵丸を破った一番を挙げた。「両親の前で…」と言葉を湿らせると沈黙。しばし、目頭にハンカチを押し当てた。

 今後の進路は未定という。自身をめぐる連日の報道に疲れをのぞかせ、「精神的なダメージを受けた。みなさん(報道)の力に圧倒されたこともある。このへんで、ゆっくりしたい」と大きく息を吐き出した。 
[2010.2.4 産経新聞]

横綱朝青龍の引退表明について、日本相撲協会生活指導部特別委員会外部委員の漫画家やくみつる氏と前横綱審議委員会委員の脚本家内舘牧子さんに意見を聞いた。
 漫画家やくみつる氏 遅きに失した感はあるが、理事会や横綱審議委員会からの(引退勧告などの)深刻な通達を事前に予期して、「今度ばかりは逃げ切れない。過去の優勝歴もそのまま残る」という打算が働いたぎりぎりの選択をしたと思う。暴行問題への対応では、事件化を避けて厳しい処分を免れようともくろみ、真相に迫れないよう示談を進めたが、そのことが逆に「そういった事態(暴行問題)があった」と反証する結果となってしまった。
 師匠の高砂親方の責任については、本来なにがしかの処分があるべきだが、減俸や降格で済むような問題とは違う。ここまで有能な人材を機能させられなかった、最後まで師弟関係を再構築できなかったという親方としての資質を問われることになる。(談)
 脚本家内舘牧子さん 朝青龍が自ら引退したことはベストの選択だったと思います。出処進退は自ら決めるというのは角界の美意識でもありますし、横綱たる者がいかなる処分でも勧告されて従うのは恥ずかしいことです。「天敵」と呼ばれた私ですが、この選択に安堵(あんど)しております。
 今後、日本であれ他の外国であれ、どこかで何かの仕事をなさるでしょうが、その際、その国とその業界、およびその仕事に対し敬意を払うことを忘れないでほしいと思います。朝青龍は日本に、角界に、そして相撲という仕事に、敬意が欠けていた。それを持てば、彼のよさがもっとあらわれ、そして評価されると考えています。(文書で)。 
[2010.2.4 時事通信]


本当に残念だ。
個人を社会と組織が叩き潰して、何を守る?何が残る?
閉鎖的で、排他的で、狂信的な社会。
この社会は狂っている。
次は誰だ?
この、社会を覆う全体主義的擬似高揚感に拐かされて、戦争に突入するのは、いつだ?