若者批判の多くは的を射ていない。

ツイッターから。

@yamauchitaiji
学生寮をつぶし、サークル部室をつぶし、教室を貸さず、学食に溜まれば追い出し、学園祭は飲酒・時間制限、夜は早く閉める、土日はキャンパスに入れない。これで「最近の学生は協調性がない、コミュニケーション能力がない、創造性がない」

極めてもっともです。私は、大学時代サークルに入っていました。私のサークルは、ある建物の公共ラウンジに勝手に荷物を置いて机を占有していていました。ラウンジノートを置いたり、私物を置いたり、友達と昼飯を食ったりしてだらだら過ごす場所でした。空き時間にラウンジに行けば、大体誰かが来ていて、そこでいろいろなことを話しながら、学生生活を送っていました。


大学3年のときに、大学当局からいっせいに撤去されました。それ以降私たちは、たまる場所を失いました。


大学にとって、もっとも大事な場所は、教室でも事務室でもなく、人が理由もなく集まる場所を作ることだと思う。理由もなく人が集まり、理由もなく会話をし、それでも楽しいと感じられる場所こそが、あらゆる社会の成果物の根源です。ひとつの目的に絞った議論から生まれるものなど多寡が知れています。目的もなく話をすることが、議論を生み、アイディアを生み、寛容性を生み、愛情を生み、社交性を生みだすのだと思います。



上記ツイートから上記のようなことを感じたので、若者批判が的を射ていないつながりで、最近感じることを述べたいと思います。
「属性で切り取るのはやめましょう」
でも書きましたが、若者批判の多くは単なる世代間闘争のアジテーションだと思います。

以下、箇条書きにします。


若者の活字離れ
⇒むしろ活字には日々大量に接しています。ブログ、ミクシー、ツイッター。2chも活字の一種です。また、最近はibook等で、著作権切れの名作を大量にDLして読むことが出来ます。若者はひたすら活字に埋もれているのです。批判者は、くだらない内容で自己批判の出来ない新聞とISBNが付けられた商品の売上が減っていることを以って若者批判に摩り替えているだけです。端的に、若者は膨大な情報から真の名作を見分けることに忙しく、また、有益なもの以外にかけるお金がないために、駄作を買う余裕がないだけです。



車離れ
⇒当たり前です。都内で車を買うとすれば、駐車場だけで月々3万は下りません。車本体のローンと、保険等をあわせれば、つきに5、6万がかかります。それでいて月に使用するのはせいぜい2、3回です。都内は電車網が世界一充実しているので、車は趣味の域を超えないのです。他方で、月収が30万足らずなのに、2割の固定費を毎月支出する趣味に手を出せる人など限られています。

昔は携帯もPCもなかったので、車くらいしか買うものがありませんでした。現代は、必需品たるネット通信費だけでも固定で月2万前後はするわけですから、車を買う余裕がないのは当たり前です。なお、地方のように車が必需品の場合は、若者も買います。ただ、その場合も、実用品として買うのですから、軽自動車になるわけです。おそらく車離れを言う人は、高級車を念頭に置いているのでしょう。いずれにせよ、現代のニーズにあっていないのですから、離れられるのは当然なのです。



新聞離れ
⇒あたりまえです。つまらない、高い、かさばる、手が汚れる、平気で虚偽の情報を流す、自己批判精神はゼロ、上層部は機密費をもらい、記者クラブに関する記事を一切書かず、検察批判に対してはあえて反論をして、ネットに対して批判的、さらには、若者叩きがはなはだしい。つまりは、新聞は、メインターゲットを老人においているわけです。他方で、ネットサーフィンをすれば、とても充実した数多くのコラムが無料で閲覧できるのですから、若者が新聞を買わないのは当たり前です。新しいネットメディアは少しずつ信用を得つつあります。現代のように、異常なまでに世代間で考え方が違う時代に、老人が主流を占めているメディアが若者に受け入れられるわけがありません。挙句の果てには、自らの商品を買わない顧客をおおっぴらに罵倒するのですから、離れるに決まっています。



理科離れ
⇒これは、一言で言えば、理科を面白く教えられる人がいないからに尽きると思います。文科省の教科書はつまらなすぎる。ipadの普及等、デジタル画像を駆使する条件が整っているのですから、至急デジタルの教科書にするべきです。ipadの元素図鑑などを見せれば、sun3dを見せれば、植物図鑑を見せれば、そしてニュートンを補助教材とすれば、瞬時に若者の心をつかむでしょう。



草食男子
⇒これだけ世間でストーカー、痴漢、セクハラ等が騒がれれば、人間として保守的になるのは当たりまえです。少し情熱的にアプローチすればストーカーといわれ、少し社会的関係があればセクハラといわれ、その基準は不明確で、女性の気持ち次第となれば、全くあたりを付けられないのですから、表現の自由を紐解くまでもなく、男子が萎縮するのは当然です。



海外旅行離れ
⇒まず、成田が遠い。飛行機離発着費用が高すぎる。燃料サーチャージも高かった。あと、ネットである程度コミュニケーションが取れる。また、外国人が日本に根付きつつあるので、異文化コミュニケーションも国内にいながら容易。海外の飯は大体食べられる。
あとは、これは完全な私見だけども、例のイラク人質事件のときに、日本中が全く的外れな自己責任論を大合唱したのは、悪影響を及ぼしていると思う。アグレッシブに人生を送っている人を、あそこまでバッシングしては、今後外に出ようと思わないよ。



サークル離れ
⇒これはおそらくスーパーフリーが遠因だと思います。ただ、大きな影響を及ぼしているのは、上記のラウンジ追放運動でしょう。大学当局としては、過激で時代遅れな左翼を追い払うために行ったというのかもしれませんが、完全に失策だと思います。至急ラウンジを復活させるべきです。サッカーサークルといったって、サッカーするのなんて月に2,3回です。残りはラウンジでだらだら過ごすのが、サークル活動だったのです。サークル活動の魅力の7割くらいを削いでしまっては、サークルに入らないのも当たり前です。バイトや外部のNGOとかに明け暮れるんでしょうね。



結婚
⇒金がありません。あと、ゼクシーあたりが、理想の結婚、運命の結婚等をあおりすぎました。
また、結婚しなくてもさしあたり40くらいまでは生きていけてしまいます。そして40を超えて絶望的な孤独を味わうも、後の祭りなわけです。



子供
⇒金がありません。専業主婦がいません。社会が守ってくれません。保育園がありません。妊婦はたらいまわしにされます。公立学校は荒れていて、通わせられませんが、私立は金がかかりすぎます。塾も異常に金がかかります。つまりは、教育が低レベルすぎるのです。学校の先生の少なからぬ割合の人が、ITに疎く、専門性もありません。しかし、これは若い先生のせいではありません。教育免許を取るために、ITや教育学以外の専門性は要求されません。学校に入ると、年取った先生は全くやる気がなく、ITなど馬鹿にしています。パワポを使った授業をしようものなら、同僚の先生からバッシングされる始末です。教育免許は、規制緩和して、一定の社会経験の有る人には自動的に与えたらよいと思います。大手のサラリーマンが、週に一度は小学校で教えるような社会こそが求められています。学校の先生は、全体をマネジメントする作業に専念し、各種科目の授業は全面的に開放するべきです。





なお、ついでに離れろといわれているのに離れないものも挙げたいと思います。

大企業
⇒これは、当然だと思います。今の社会で、最初の就職をベンチャーにした人は、原則大手には入れません。ですから優秀な人はまず大手に入ります。他方で、大手は、当初の額面給料こそ安いものの、寮完備、社会保険完備、失業手当て、労災、産休・育休、残業代、社会的信頼からくるローン審査、交通費・家賃補助、出張手当、退職金、企業年金と、至れり尽くせりです。また、既に合理性が乏しくなった異常なまでの解雇規制により、まともに働いていれば解雇はされません。景気が悪くなってもせいぜい早期退職制度による高額の退職金を手にする自己退社です。
他方で、ベンチャーを起業しようものなら、確かにやりがいはあるかもしれませんが、一日15時間労働、上記手当ては一切なし、事故にあおうものならすべて崩壊、全力でがんばっても上場者利益を手にするのは一握り、社会的信頼も乏しくローンや結婚もままなりません。

これでも、後者を選択する人は、よほど自信と行動力がある人です。
が、そのような人は日本の教育システムではむしろ排除されていきます。大多数が大企業を目指すのは当然のことです。


上位大学
⇒大企業を目指すのが当然で、大企業が上位大学から多数を採用する以上、上位大学を目指すのも当然です。


ゲーム
⇒楽です。思い通りになります。楽しいです。安いです。


漫画
⇒楽です。楽しいです。痛快です。漫画喫茶等によりアクセスが容易になりました。なお、日本の漫画家は、圧倒的な才能ですね。絵も描けて、ストーリーも考えて、それで毎日激務ですから。


ドラッグ
⇒上述したように、現実が絶望的です。他方で現実を忘れさせてくれるドラッグは安易に手に入ります。軽い気持ちで、手を出してしまうのですよね・・。



いずれにせよ、現代は、圧倒的に世代間闘争の様相を呈してきた。老人は老獪だ。若者は、まじで戦わにゃならん。





ではまた。